コンタクトレンズを装着したまま寝ることを繰り返していると、失明の危険性があります。眼球の黒目の部分である角膜には血管がないため、血液から酸素を取り入れることができません。よって、角膜に触れている空気や涙から酸素を取り入れています。そのため長時間レンズを付けたままだと呼吸ができない状態に陥ります。レンズは酸素を通すようには作られていますが、裸眼の状態に比べると取り込みにくく、しかも寝ている間は、瞬きもしないのでより酸欠の状態になっています。また、寝ている間は涙もほとんど分泌されないためより酸素不足になりがちです。
角膜の表面では、酸素を元にして細胞の新陳代謝が行われています。酸素が不足すると新陳代謝がスムーズに行われなくなり、角膜の上皮に傷がつきやすくなったり、剥がれたり、炎症を起こしやすくなります。また、その傷から細菌感染を起こし角膜潰瘍になる場合もあります。角膜潰瘍による感染は、目の表面だけでなく奥の組織まで影響を及ぼし、激しい痛みや視力障害、失明の危険性があるので注意が必要です。慢性的な角膜の酸素不足のため、酸素を送り込もうと周囲の血管が伸び瞳孔まで侵入すると視力の低下を引き起こすこともあります。酸素不足で角膜内皮の細胞が減ってしまうと元には戻らず、角膜移植が必要になるケースも見られます。
自覚症状がないまま症状が進行する場合もあるのでレンズを装着したまま寝てしまうことは避けるようにしましょう。